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zoom RSS キレの良い写真とキレを良くする方法

<<   作成日時 : 2013/06/24 14:24   >>

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 一年程前に、私にとってはとても衝撃的な写真を見る機会に恵まれた。その写真は私の友人から旅行の写真を送ってくれたものでした。その写真の何に衝撃を受けたかというと、メリハリの良さというかキレの良さと言ったらよいのでしょうか、とにかくクリアーなのです。

 普段私は一眼レフを使っています。以前は600万画素程度のもの、今は2400万画素程度のものを使っています。しかし、どう考えても、友人の送ってくれた写真のキレが良く、気になって仕方がなかったのです。その写真を下に示します。
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写真をクリックしていただければ、拡大表示可能です。

 おそらく、この写真の好き嫌いは人それぞれでしょう。もっとしっとりとした写真の方が良いという方も多いのではないでしょうか。そういう方は、このグログは意味がないのかもしれません。しかし、私は基本的に画面全部がくっきりとフォーカスが合っていて、クリアーな写真が好きなのです。一眼レフでボケ味を楽しむという方も多いと思いますので、私の好みは普通ではないのかもしれません。

 最初は、私の友人が私の持っているカメラより相当いいものを使っているのかと思っていました。しかし、写真を調べてみたら、なんとコンパクトカメラでした。コンパクトでも少し高級な部類に入るものですが、ズーム付きの1/1.7インチのセンサーのコンパクトカメラです。いわゆる今流行りの高級コンパクトではありません。画素数は1000万画素程度です。但し、送ってもらった写真はメモリーを節約するためか、150万画素になっていました。従って、画像をパソコンで少し拡大すると、いわゆるジャギーと呼ばれているギザギザの画像が出てきてしまいます。しかし、SXGAのパソコンモニターでめいっぱいに拡大する程度ではジャギーはほとんど気になりません。

 もらった写真の大半は広角側で撮影されていました。つまりズームは殆ど使っていないのです。それで、広角側でレンズさえ良ければこんな綺麗な写真が撮れるものなのかと思っていたわけです。しかし、コンパクトカメラですから、レンズのデータなどはどこにも書いてありません。いや、コンパクトと馬鹿にしてはいけない。一眼よりもひょっとして良いレンズかもしれない、とさえ思うようになったのです。

 そして、次にこの写真を印画紙にプリントしてみました。プリントはA4サイズの印画紙を使い、インクジェットプリンタでの印刷です。驚くことに、エッフェル塔の鉄骨の細部までがはっきりと解像しているのです。印刷したものにはジャギーは殆どみられませんでした。

 150万画素でこんなにくっきりして、A4サイズで印刷も全く問題がないとしたら、一体2400万とか3000万画素のカメラなど必要なのだろうかとさえ思ってしまったのです。

 しかし、どう考えても納得が出来なくて、その送ってもらった写真を細かく見てみました。そしてこの写真に一般の写真とは異なった特徴があることが判りました。それは、明⇔暗のレベル変化の鋭さです。上のエッフェル塔の写真の一部を拡大したものが下の写真です。
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 この拡大写真の矢印で示した部分を見ると、空の明るさから鉄塔の暗さの間が一画素の中で100%近く変化していることがお判りでしょう。少し上の当たりでは、中間の諧調がありますが、これは鉄塔が斜めになっているためです。

 通常、どんな良いレンズをもってしても、このようにクリアーにコントラストが変化することはありません。必ずなんからの中間的な明るさの領域が入ります。つまり、この画像はカメラで撮影した時の何らかの加工が入っているということです。最初に述べたようにこの写真は150万画素になっていました。カメラは1000万画素ですから、画素数を減らしてメモリに格納していたわけです。その過程で、非常にクリアーな画像が作られていたということになります。おそらく、この写真をカメラのフル解像度で撮影していたら、これほどキレのよい写真にはならなかったのだと思います。

 このことは、キレのよい画像を作る上で良いヒントになります。一般にキレのよい写真を撮るには、キレのよいレンズを使うということになります。キレのよいレンズとは、レンズの解像度性能でよく使われるMTFのグラフで1ミリ当たり10本のライン密度の画像を撮影した時の変調度で、90%以上の変調度を持つレンズと言われています。MTFの例を下に示しておきます。一眼カメラのレンズの単体性能には必ずこのデータが付いています。一部の最近の高級コンパクトでもMTFのグラフを記載しているものもあります。このグラフは横軸がレンズ中心からの距離、縦軸が変調度です。黒白のラインが並んだチャートを撮影して、変調度が1.0であれば理想的ですが、一般的にレンズ周辺に行くほど解像度が落ちますので、図のようにダレてきます。M30とM10と書かれているのは、1ミリ当たり30本のチャートと10本のチャートの2種類が表示されているということです。M30は解像度、M10はキレの良さを表していると言われています。S30、S10というのも書かれていますが、これはチャートの方向を示していて、M30とS30が直交したチャートになっています。
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 キレが良いと言っても、そもそもキレというもの自体があいまいな表現ですから高価なレンズを購入しても必ずしも満足できるかどうかは解りません。しかし、明から暗に垂直にレベルが変化する画像が手に入るのであれば、これ以上のキレのよい画像は存在しないことになりますから、加工によってキレを良くすることができるというのは写真を楽しむ上で選択肢が広がるのではないでしょうか。邪道と思われる方も当然居られるでしょう。

 では、キレのよい画像を手に入れるにはどうすればよいのでしょうか。友人の写真のように、どんなカメラでも画素数を抑えればキレのよい画像になるとは限りません。それは、画素数を落とす方式に依存するためです。それにどのような方式で画素数を落としているかということは、一般的にカメラの取説などには書かれていません。

 そこで、写真を撮る際は、高い解像度(大きな画素数)で撮り、それをソフトを用いて画素数を減らし、その際に画素数を減らす方式をキレを良くする方式に設定するという方式を用います。画素数を減らすのは、最低でも1/4以下の画素数にします。つまり、2400万画素の画像であれば、600万画素以下にするということです。できるだけ、画素数を少なくするのがコツです。そして、画素の補間方式としてニアレストネイバー法を用います。

 この方式は一言で表現すれば、間引きを行うということです。間引きを行いますから、画像のエッジで比較的に中間の諧調が選ばれる確率が低く、明から暗に一気に諧調が変化するということです。この方式を採用することにより、キレのよい画像が得られるのです。一般的な補間方式は、明るさが徐徐に変化するようにしているものが多いので、画素数を減らしてもキレはあまり変化しないのです。しかし、ニアレストネイバー法は、補間計算をしない方式ですので、キレが良くなるのです。

 友人の写真の例でも、元の画像のフォーカスが適正であれば、150万画素の画像でも、PCの画面で問題なく表示できますし、A4くらいまでのプリントであれば、全く問題なしです。オリジナルの画像が保存してあれば、元に戻すこともすぐにできますので安心です。

 実際に1600万画素のコンデジカメラの写真を加工したものを下に示します。大元の画像で比較してもこのブログ上ではあまりはっきり表示できないので、拡大したもので比較します。1600万画素の画像を133万画素に圧縮してみました。上が普通に画素を減らしたもの。下が、ニアレストネイバー法を使って画素数を減らしたものです。
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 昔であれば、キレのよい写真を撮ろうとすると、フォーカスを正確に合わせ(時にはアオリ機構をつかって合わせたり)、キレのよいレンズを使ってやっと実現できたのですが、今はデジタルの処理でキレの良さを実現できるということになります。デジタルだからこそ可能になったということです。また、カメラの画素数が多い場合は、キレをよくする上で有利です。

 キレをよくする方法としてエッジを強調するという方法もありますが、エッジのレベルのオーバーシュートやアンダーシュートが発生してしまいますので、どうしても不自然になります。

 キレというのをもう少し科学的な表現をすれば、コントラストがよくて、エッジが立っている写真ということでしょうか。必ずしも解像度ではないということです。
 そして、キレの良さの一因に、上述したエッジの立ち上がりの差があるのではないかとの結論に達しました。その立ち上がりとは、デジタルカメラでの1画素の間で90%以上の明るさの変化が起きていると、ヌケが非常によく感じるということがわかりました。通常、一眼レフなどで撮っても、1画素で90%程度まで明るさが変化する写真はなかなか写せません。もちろん強調などは無しという条件です。それはレンズの制約もあれば、センサーの前のローパスフィルターの影響もあります。センサーとエッジの位置関係にも依存します。
   
 もちろん、解像度が必要になるような写真もあるわけで、ヌケやキレだけが良ければよいというものでもないとは思います。しかし、キレのよい写真というのは、見ていて非常にクリアーですし、ビビッドな表現ができて私は非常に好きです。

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