ライティングでは大きな光源を使うことが多いとお話しました。その理由は、陰影を強く付けずに、しかもある程度隈なく照明したいからです。物を撮る場合の基本になります。逆に陰影を強く付けるのは、凹凸を強調したい場合です。後者は特殊なケースと考えて良いと思います。 そこで、なるべく均一に照明ができる大きな光源が必要になるのです。大きな光源を得る一番簡単な方法は、ライトバンクという照明機材を使う方法です。大きな箱のような形をして、面から光が出てくるのですが、前面にスクリーンが貼ってありますので、非常に大きな光源が得られます。ライトバンクの構成は、光源ランプと、拡散板です。単純なのですが、購入するとそれなりの値段がします。 ここでは、普通の光源と、トレーシングペーパーでライトバンクを構成します。おおきなトレーシングペーパーは、カメラ量販店などで売っています。光源に余裕があれば、トレーシングペーパーでなくても構いません。無色、無地の紙でも結構です。 光源は、どんなものであっても良いのですが、蛍光灯又はLEDランプが良いと思います。昔は、照明用の光源というとレフランプと呼ばれる反射ミラーのついたランプが用いられましたが、ワット数が大きいので、暑くて大変でした。LEDランプが使えるようになって、発熱が少なく安全です。ランプを選ぶ時に、指向性の強いものを選ぶと、トレーシングペーパーの広い領域を照明できませんので、なるべく指向性の弱いものを選んで下さい。 投光器を使うという方法もあります。最近はLEDタイプがありますので、明るくて熱が出ないので便利です。 設置の仕方のポイントは、下図に示したように被写体のなるべく近くにトレーシングペーパーを垂らし、裏からトレーシングペーパー全体に光が当たるように照明します。 では大きな光源の効果を比較してみましょう。下の写真は、普通のランプ(一般の白熱電球のサイズのLEDランプ)を被写体から50cm程離して撮影したものです。 上の写真でお判りと思いますが、先ず被写体のカップの右側にくっきりとした影が出来ています。カップの取っ手の形も影にはっきり出ています。本来、カップを写したいのですが、影がある程度できるのは仕方が無いとしても、くっきりとした影は邪魔です。見る人の注意が分散してしまいます。 次に、大きな光源で写した場合を見てみます。次の写真は、光源は上の場合と同じですが、被写体までの距離は20cm程度に近づけてあります。そして、ランプの前に直径20cm程のトレーシングペーパーを入れてあります。 いかがでしょう。影は大きくボケています。従って取っ手の形状は影には出ていません。これぐらいボケれば影もそれほど邪魔にはなりません。 さらに、後者の方が全体的に柔らかいイメージになっています。特に注意して見て頂きたいのは、一番明るい部分です。カップの右上のヘリのあたりに光源からの反射があります。この反射の強度を比較していただくと判りますが、小さな光源の場合は強く、下手をすると飽和してしまう(飛んでしまう)可能性もあります。一方大きな光源の場合は、反射の強度も少し弱くなっています。代わりに反射する領域が大きくなりました。これは光源が大きくなったからです。 ほんのちょっと手間をかけるだけで、被写体をより良く見せることができるわけです。 |
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